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“5YEARsince熊本地震”記念オンライン座談会実施報告

最終更新日:
  • 20214月15日の熊本城

令和3(2021)年4月15日(木曜日)に撮影した熊本城

 令和3(2021)年4月15日(木曜日)、“5YEARsince熊本地震”記念オンライン座談会を、「災害時の外国人の情況と多文化パワー」をキーワードに、ZOOMウェビナーで開催しました。登壇者は、次のとおりです。

 兵庫県神戸市にある人と防災未来センター主任研究員楊梓さんに、3月17日から20日にかけて実施した令和2(2020)年7月豪雨災害、台風時の外国人被災者の状況調査報告をしていただきました。報告後は、当該調査にご協力いただいた外国につながる皆さん、Kumamoto International のカーク マスデンさん、Kumamoto Earthquake Experience Projectのアンドリュー ミッチェルさん、ネパール人コミュニティのデブコタ ハリさん、中国人コミュニティの楊軍さんに、座談会で発言していただきました。また、熊本市国際課の原田彰子さんに熊本地震後の災害時の外国人被災者支援策の取組について報告いただきました。(コーディネーター:熊本市国際交流振興事業団 八木浩光

  • オンライン座談会の様子(全体)


開催趣旨

座談会の開催趣旨は、前述の調査報告と協力者を含めた振り返りを、オンラインを活用し公開で行うことでした、さらに、熊本地震から5年が経過する中にも、震災経験を風化させず伝えていくことでした。命に係る大事な情報はすべての人が理解し、安全な行動ができるように伝えなければなりません。外国人は言葉や習慣の違いや母国で災害経験がないことから災害時要援護者となりますが、彼ら/彼女らと平時から地域がつながることで、「多文化パワー」が発揮される可能性について考える機会とすることでした。この事は、2020年7月豪雨災害や台風10号の接近など、災害の頻繁化と甚大化傾向があり。また、新型コロナウイルス感染症の新たな恐怖と不安が発生しており、地域の連帯をつくっていく上で大変素晴らしい機会になりました。

当日の次第などの関係資料


以下、座談会の振り返りです。


「災害時の外国人の情況と多文化パワー」

人と防災未来センター主任研究員楊梓さんに、3月調査の基調報告をしていただきました。楊梓さんは、熊本地震時にも外国人被災者の行動様式について調査研究をされ、外国人被災者の行動様式は多様であることを指摘されています。3月調査については、外国人コミュニティに加え、自治体、民間団体の皆さんにもご協力をいただきました。調査より、日本語教室や国際交流協会など平時から外国人住民との交流が少ない地域では、外国人住民のニーズを把握することが難しいことがわかりました。日本人の配偶者等の外国人住民は、要援護者でありながら、日本人家族と一緒に行動するため、外国人としての側面が見えづらい状況にあります。 一方、外国人コミュニティがある場合、災害に関する情報が共有されたり、励ましあいがうまれたり、安心につながることがわかりました。昨今、気象庁、内閣府、出入国在留管理庁やNHKから多言語での災害・防災情報がタイムリーに発出されていますが、身近な信頼ある人からの情報の方が安全な行動にむすびつくこともわかりました。2020年7月豪雨災害時に、鳴り止まないエリアメールに携帯の電源を切ってしまった外国人住民がいました。

前述の災害時における外国人被災者の多様な行動様式に対して、地域で外国人住民を災害時に孤立させないためには、「要配慮者」となる彼ら/彼女らの脆弱性を正しく理解することが重要です。(出身国・地域によって災害・防災知識には濃淡がある。)自治体、国際交流協会、民間団体、企業や地域日本語教室での日本人住民が連携し、外国人特有の障壁をなくしていくことで、彼ら/彼女らは、防災リテラシーを高め、平時の地域活動や災害時の支援活動の担い手になりうるのです。

(具体例は、資料を参照ください。)


オンライン座談会

次の2つの問いを立て、座談会を進めました。

問1:外国人は言葉・文化の違いから災害時要援護者と規定されているが、はたして、いつもそうなのか?

問2:多文化共生社会を実現するために、外国人住民やそのコミュニティができることは?地域社会に期待することは?

 「熊本は地震がない地域と聞いていたので、熊本地震自体が想定外だった。」と多くの外国人被災者から聞きます。そんな外国人被災者が、当時抱えた課題とは、また、どんな事に安心を取り戻すことができたのか。 災害時には、多くの支援情報が発出されます。現在、多言語での情報もタイムリーに出されてようになりました。これらの情報が、必要な人たちに届いていたのか? どんな情報のあり方が望ましいのか.. 

 外国人コミュニティは、同じ言葉、文化・習慣の人たちが集まっているので、相互の信頼感が高い。安全な行動をとるには、地域の日本人コミュニティとつながっておくことが大事である。さらに、日本の文化・習慣や地域のルールなどを理解するには、他の外国人コミュニティと情報交換をしたり、共に活動をしたり、することが、さらに大事になってきます。

 他にも、医療通訳の活動のこと、熊本地震後の災害時外国人支援や防災に関する変化、外国人の災害ボランティア活動のことなどなど多くのことが話されました。

※熊本市国際課原田さんの報告資料がダウンロードできます。


 次のYoutubeをご覧ください。


参加者の皆さんより新しい気づきや発見、また、今後、もっと知りたいこと、聞きたいことについて、たくさんのご意見をいただております。心より感謝申し上げます共に、今後に活かしていきます。 以下、現時点でお答えできるところを下記します。

  • 学生が関わることができる「多文化共生」 ⇨ 日本語ボランティア、大学での留学生との交流、大学や地元の国際交流協会へ尋ねてみる。当事業団では、Global Communication Activityとして、日本語と英語のオンラインおしゃべり会を開催しています。(英語:第1,3土曜日、日本語:第2,4土曜日、時間は夜7時から(日本時間)
  • 災害時の多様な連携について、もっと知りたい。 ⇨ 地域内、地域外、連携のコーディネーションが大切になってきます。外国人の防災という視点では、地域の国際交流協会や各地域の国際交流協会のネットワーク、全国の多文化共生マネジャーの方々、外国人コミュニティの連携があります。 平時から外国人住民と彼ら/彼女らが暮らす地域内での関係づくりが大事になります。(日本語教室の開設、地域の行事への外国人住民の参加、など)
  • 外国語が話せる日本人の災害時の協力 ⇨ 多くの国際交流協会が多言語サポーターを養成しています。身近な国際交流協会へお尋ねくださいませ。
  • 外国人コミュニティとの絆づくりについて ⇨ 各コミュニティのキーパーソンと話すことから始まるものと存じます。コミュニティが抱える課題がないか、メンバーはどんなことを社会に望んでいるのかなどを話せる場を作っていければよいと存じます。
  • コミュニティが弱い(メンバーが少ない)国の方が立ち上げたコミュニティについて ⇨ 在留資格、日本語などの別な切り口でのコミュニティがあります。 例えば、外国人妻と日本人妻の会など

 「外国人被災者から見た日本で開設される避難所の良いところ、改善が必要なところは?」「より効果的な情報提供や信頼関係づくりについて」など,今後検討調査し、別な機会に情報交換の場としてオンライン座談会の開催を計画したいと存じます。 

改めまして、多くの皆さんに、本オンライン座談会へのご参加をいただきましたことに、心よりお礼申し上げます。



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